ファブリー病とは?

ファブリー病は、全身の細胞の中にある、ある一つの酵素(α-ガラクトシダーゼ)が生まれつき少ないために起こる病気です。分解できない物質が体にたまり、様々な症状があらわれるのです。
ファブリー病は先天代謝異常症のひとつです。遺伝子の異常が原因で、そのため子どもに伝わる可能性もあります(X連鎖性遺伝)。
国の難病(特定疾患)に指定されている「ライソゾーム病」に含まれます。

 

◇どんな症状があるのですか?

・手や足が痛む
・汗をかきにくい
・赤い発疹(被角血管腫)
・角膜混濁
・難聴、耳鳴り
・腹痛、下痢、吐き気、嘔吐
・腎機能障害(蛋白尿・腎不全)
・心機能障害(心肥大など)
・脳血管障害(脳梗塞や脳出血)

※ すべての症状が出るとは限りません。個人差があります。

 

◇どのように診断されるのですか?

血液検査で血液中の酵素の働きが測定できます。尿を採取して蓄積している糖脂質を確認したり、遺伝子変異を調べることもあります。

 

◇どんな治療がありますか?

・酵素補充療法
治療の中心となる最も大切な方法です。足りない酵素(α-ガラクトシダーゼ)を、2 週間ごとに、40 分から2~3 時間かけて点滴します。現在、ファブラザイムとリプレガル の二つの治療薬が開発されています。

・対症療法
手足の痛みには、テグレトールなどの抗てんかん薬が有効です。ただし、効果には個人差があります。
その他、必要に応じて飲み薬、透析、ペースメーカーなどの治療が行われることもあります。

 

◇患者さんは何人いるのですか?

現在日本では600人以上の方が酵素補充療法を受けています。しかし、推計では、国内患者数はおよそ7,000人に1 人(約1万8千人)とも言われ、治療薬があるにもかかわらず、気づかないまま生活している方が大勢いるかもしれないのです。

 

◇利用できる社会制度はありますか?

ファブリー病と診断されると医療費の一部が公費で負担される、特定疾患医療費助成制度があります。窓口は最寄りの保健所です(市区役所が窓口の自治体もあります)。

 

◇どのような人に多いのですか?

遺伝形式(X 連鎖性遺伝)から、男性のみに発症すると考えられていましたが、ファブリー病の場合は、女性でも発症する例が多いといわれています。

 

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酵素補充療法が有効で、これにより症状の進行を遅らせることができます。一般的な他の病気と同じように、ファブリー病でも早期発見・早期治療が大切なのです。

(2013 年9 月作成)

PDF版はこちら→ 「ファブリー病

さらに詳しい情報は、ファブリー病に関するサイト(リンク集)をご覧ください。